生きがいとは何か ─「世界一貧しい大統領」 ホセ・ムヒカ元大統領が遺した「幸福の哲学」〜
- ふなと愛
- 5 日前
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2025年5月13日、ウルグアイの元大統領ホセ・ムヒカ氏が、89歳でこの世を去りました。
「本当の幸せって、なんだろう?」
「人が生きる意味は、どこにある?」
ムヒカ氏は、人生をかけてこの問いに真正面から向き合い、
そして、自らの生き方そのもので答え続けてきた人でした。
■ 武装闘争と14年の獄中生活

1935年、ウルグアイのモンテビデオで生まれたムヒカ氏は、
若い頃、貧富の格差に怒りを覚え、極左武装組織「トゥパマロス」に参加。
リーダーとして政府に立ち向かう闘争の中で、
何度も銃撃を受け、約14年間にもおよぶ過酷な投獄生活を送ります。
その中には、独房での2年以上の完全な隔離生活も含まれていました。
光のない世界。過酷な拷問。
孤独と苦難に精神を病みながらも、
彼は自分の内面と徹底的に向き合うことになります。
「憎しみと戦いで、世界は変わらない」
「人が幸せでいるために、本当に必要とするものはごくわずか。
物質的な豊かさよりも、心の自由こそが何よりも大切」
日本文化の中心、“清貧”の哲学とも通じるこの気づきが、
後の “世界一貧しい大統領” の原点となりました。
■元ゲリラから 「世界で最も貧しい大統領」へ。

釈放後、政治活動を続けたムヒカ氏は、
2010年に75歳で大統領に就任。
2015年までの5年間、ウルグアイの第40代大統領を務めました。
大統領になった後も、彼は首都の大統領公邸に住むことを拒み、
郊外の農場に住みながら、愛犬と共に質素な生活を続けていました。
さらには月収の約90%を寄付し、
自分自身は月1000ドル程度の生活を続けていたといいます。
この暮らしぶりから「世界一貧しい大統領」と呼ばれるようになりましたが、
彼はこう反論します。
「貧乏な人とは、少ししか持っていない人ではなく、 無限の欲があり、いくらあっても満足しない人のことです」 ― ホセ・ムヒカ(2012年リオ+20スピーチ)
■ 真の豊かさとは何か?──リオ+20での衝撃のスピーチ

ムヒカ氏の名前が世界に広く知られるようになったのは、
2012年、ブラジルのリオデジャネイロで開催された
国連の「持続可能な開発会議(リオ+20)」でのスピーチでした。
各国の首脳達がうわべだけの綺麗事や自国の経済的利益を語る中、
ムヒカ氏はたった一人、「幸福」について真正面から語ったのです。
「発展は、人類に幸福をもたらすものでなくてはなりません。 愛情、友情、子どもを育てること、 必要最低限のもので満たされること。 それが人間の幸福なのです」 「わたし達は、 発展するために生まれてきたのではありません。 幸せになるために地球にやってきたのです。 大量消費社会は、持続可能ではありません」 (※スピーチ全文訳:https://hana.bi/2012/07/mujica-speech-nihongo/)
ムヒカ氏のスピーチは
GDPや経済成長を至上とする社会に、
痛烈な批判と、深い問いを投げかけました。
■ 「ある」に目を向ける。「生きがい的生き方」

ムヒカ氏のメッセージは、生涯を通して一貫していました。
「ない」ものに目を向けて競争や奪い合いを繰り返すのではなく、
「今、ここに “ある” ものに感謝する」という生き方を。
シンプルに生きることにシフトすると、
限りない豊かな世界が見えてくる。
日本の禅や、仏教的な思想とも通じるこの思想は
まさに「IKIGAI=生きる意味」そのもの。
“伝説のスピーチ”から13年がたった今でも、
わたし達に語りかけ続けています。
■ 生きがいと幸福。わたしたちができること。

「発展」→「幸福」。
世界一貧しい大統領と呼ばれたムヒカさんが訴え続け
また彼自身が実践し続けた “WorldShift” 。
彼の遺志を引き継ぐことは
決して難しいことではありません。
日々の暮らしの中で、
「生きがい」を感じる瞬間を大切にすること。
たったそれだけでいいのです。
家族との何気ない会話、
朝の光を浴びること、
誰かと笑い合う瞬間、
花を美しいと感じる心…。
「ない」→「ある」へと意識をシフトすると、
見えてくるのは、「IKIGAI的世界」。
それは、
心地よく、美しく、奇跡に満ちている。

ムヒカさん、ありがとう。
天国から見えるこの星を
あなたが愛おしく想えるように
わたし達は今日も「IKIGAI」を生きます。
心からのご冥福祈って。
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