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執筆者の写真ふなと 愛

幸せを追求すると幸せになれない!?〜 “Happiness”と“IKIGAIの違い



幸せに生きることを 望まない人はいない。


けれど、わたしたち人間が感じる

本当の幸せ(Happiness)って、何でしょうか? 



楽しい、喜び、ワクワク、JOY…


“Happiness” という言葉には、

そんな前向きで明るいイメージがありますが、


わたし達の心が本当によろこびを感じることは、

ただ “楽しい” 、“喜ばしい” だけでは

表現しきれるものではありません。


「IKIGAI」という概念は、まさに

“Happiness(幸せ)” という概念を、含みながら超えていくような

 “奥行き” と “豊かさ” があるのではないでしょうか。


一輪の花を手渡す





では、“Happiness” と “IKIGAI” の違いって、なんでしょう?



この問いを紐解くために、

10月の【IKIGAI Open Lab】のゲストスピーカー、

ニューヨーク在住のIKIGAI研究員 Yumikoさんが紹介してくれた興味深い記事





記事の中で、アメリカ人である著者は、

かつて彼が担当していた国際色豊かな学生達のクラスでの議論を取り上げ、

ある日本人留学生が語った言葉を引用します。


「ヨーロッパ人の元カレは、

 いつも私が幸せかどうかを気にかけてくれていました。

 でも、それが本当に疲れてしまって...」


アメリカ人である著者は、

この “不思議な告白” に首を傾げます。


なぜなら彼は

幼い頃から「幸せを追求すること」こそが

人生の目標であると教えられてきたから。


「なぜ、この賢い日本人の女子学生は、

 自分の感情に関心を持ってくれる男性に疲れてしまうのか?」



この疑問の中にこそ、

西洋的な “Happiness” と日本的な “IKIGAI” の

本質的な違いが隠されているのです。




その違いを、3つの観点から観ていきましょう。





1. 「追求」か、「気づき」か。


パソコンの画面に映るGoalsと言う文字


西洋では主に、

幸せ=“積極的に追い求めるもの”

という公式があるようです。


「今の自分は、幸せだろうか?」

「どうすれば、もっと幸せになれるだろう?」


そんな風に

自分に問いかけることは大切ですが


幸せを“ゴール”にしてしまうことで、

他と比べて苦しんだり、

「達成できなければ不幸せ」という

罠に陥ったりと

時として、強迫的にはたらいてしまうことも。



一方、IKIGAIの感覚を持つ日本人の“幸せ感”は…。


「幸せとは、追いかけるものではなく、

 日々の営みの中で自然と気づくもの」。


小鳥のさえずりで目覚める朝。

庭の手入れをしながら、新芽を見つけた時。

大切な家族との、何気ない食事の時間。

仕事で誰かの役に立てた瞬間…。


日常の中にある小さな喜びに“気づき”、

ふと心が温かくなる…。


それが日本人の考える “幸せ” の形なのです。







2. 「個人」か、「つながり」か。


仲間と肩を組み太陽を浴びる


西洋でいう “幸せ” は、どちらかというと

個人的な感情や達成に重きを置きます。


「“わたし” は、幸せか?」

「“わたし” の目標は、達成できているか?」


など

自分自身の内側に向けられた問いが中心となります。



一方、“IKIGAI” は

他者や社会との “つながり” の中で

見出される喜びを大切にします。


沖縄の高齢者たちが語る “IKIGAI” には、

必ずコミュニティや誰かのための存在意義が含まれているそうです。


「孫の成長を見守ること」「地域の伝統を守ること」「友人との交流」など、

常に誰かとの関係性の中に、“IKIGAI” を見出しています。

また、「三方よし」という言葉に表されているように

日本人が何事に対しても

“対価”に関係なく、最善を尽くそうとする姿や、

職人が 技を究極にまで極めようとする姿なども、


“自分の幸せ”を超えて、他者や世界とのつながりを、

さらに言えば “素材” の命とのつながりを

大切にしているがゆえ、なのかもしれません。  






3. 「感情」か、「意味」か。


手のひらの上の花


 “Happiness” が

「今、幸せを感じているか?」

という 感情に焦点を当てるのに対し、


 “IKIGAI” は

「自分は何のために生きているのか?」

という 意味や価値に重きを置きます。



必ずしも、大きな目標や使命である必要はありません。


日々の小さな営みの中に見出される

「自分の居場所」

「誰かの役に立てている実感」

「生きている意味」など、

もっと繊細で深い充実感なのです。









幸せにフォーカスしすぎると、幸せから遠ざかる!?


グランドキャニオンをハイクする女性




ここで、冒頭の記事を引用してみましょう。



心理学者のアダム・グラントは言います。 「幸せは、間接的にしか追求できない」 最近の研究によると、皮肉なことに 「自分は十分に幸せか?」と問い続けることが 否定的な感情に焦点を合わせたり 他者と自分とを比較することのきっかけとなり かえって幸せから遠ざかってしまうことがあるのです。 (中略) 代わりに、 「自分は人の役に立ってる?」 「家族や友人に貢献できてる?」 と問いかけてみましょう。 コミュニティ、趣味、そして人間関係といった 人生に価値を与えるものにフォーカスした方が むしろ幸せを感じやすくなるのです。 Americans Pursue Happiness, Japanese Chase ‘Ikigai.’ The Difference Is a Powerful Lesson in Emotional Intelligence 』より引用



IKIGAIはよく


「好きなこと」

「得意なこと」

「世界が必要とすること」

「報酬が得られること」


4つの要素が重なり合う部分として表現されます。 そのことを表現した『IKIGAIのベン図』を見ると

上の記事で語られている

「自分は人の役に立ってる?」 「家族や友人に貢献できてる?」  という視点が、

IKIGAIをカタチづくる大切なエッセンスのひとつだとわかります。


IKIGAIのベン図


もちろん、この4つがIKIGAIの全てではありませんが、

このベン図を見ると、

IKIGAIが単なる “個人の幸福追求” ではなく


自分と人、自分と世界との

“つながり” の中で見出されるものだと感じませんか?









“Happiness”から、“IKIGAI”へ。


黒いハートを手渡す

本当の「幸福」を生きるために必要なこと。



それは、

「自分という個人」の「幸せという感情」を「追求」するHappinessから、


「わたしと人、繋がりの全ての命との繋がり」の「今ここにある意味」を「感じる」

IKIGAIへのシフトなのかもしれません。




IKIGAIは、

ワクワクやJOY、Happinessだけではなく

哀しみの中にこそ、煌めく慈悲

苦しみの中でこそ、立ち昇る生命力

光と闇、善と悪といった二項対立ではなく すべてを含んで超えたところにこそ、味わえる


「わたしは、生きている」という

命の奥深くから湧き上がる “悦び” であり、


「だから、わたしは生きる」という

あなたという存在を支える “意味” なのです。








山の上に佇み太陽を望む男性




あなたの「IKIGAI」は、何ですか?



それは、

日常の中でキラッと光る 小さな発見かもしれません。

大切な誰かのためにできる ささやかなことかもしれません。


IKIGAIを中心に世界を感じてみると

どの瞬間にも、まだ見ぬ新しい可能性が

無限に潜んでいることに気づくはず。



愛を込めて。









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