「IKIGAI」とは、文字通り「生きる甲斐」。
生きることの「意義」を表すこの言葉は、
わたし達 一人一人の価値観や人生観によって、
さまざまな形を見せてくれます。
「IKIGAI」の多様な姿
わたし達は、それぞれの人生の中で様々な「IKIGAI」を見出します。
例えば…、
自己実現 ―― 内なる自分との対話を通じて、理想の自分へと歩む道
人間関係 ―― 他者との絆から生まれる、かけがえのない意味
社会貢献 ―― 共同体の一員として、よりよい世界を築く喜び
趣味と情熱 ―― 時を忘れ、心を奪われる没入体験
精神的充実 ―― 今この瞬間の幸せを感じ取る力
宗教的意義 ―― 超越的な存在との一体感、神聖なる繋がり
これらは一例ですが、いずれも
生きているから、感じられる。
生きているから、分かち合える。
生きる意味。
生きるヨロコビ。
生きる味。
それが、「IKIGAI」と言えるでしょう。
「死」や「看取り」から見出す「IKIGAI」
では、ここでひとつの問いを。
“死”から感じる “生き甲斐”って、存在するのでしょうか?
生きるということは、本質的に「死に向かう旅路」。
生と死は、命という硬貨の表と裏。
両極のものでありながら、
陰陽のように分かち難い関係にあります。
そう考えると、「死」もまた、
わたし達に 特別な「生き甲斐」を与えてくれるのではないでしょうか。
古来より語られる、死の二つの形。
一つは、「肉体の死」。
もう一つは、「記憶の死」。
人が息を引き取り、心臓が止まると
肉体は、魂の容れ物としての役割を終えて、
その瞬間から朽ちていきます。
そこに、「命」は存在しない。
だけど、
その人を思う誰かの記憶の中で、
存在は生き続けている。
その人の言葉、想い、人生は
死んでもなお、
生きている人々の「命」に、「響き」を与え続ける。
看取り終えた父と母が教えてくれた、愛のカタチ
わたしは、この3月に父を看取りました。
その10年前には、母の看取りを経験しています。
母を失った直後の父は、まさに生きがいを亡くした状態。
「何のために生きているのかわからない」と
ただただ母が先にいってしまった事を嘆いていました。
でもある時、父がこう語ったのです。
「自分が生きてることで、お母さんは自分の記憶の中で生きてる。
だから、もうちょっと頑張って生きなあかんな」
それから父は
ろくに料理をしたこともなかったのに
「作り方を教えてくれ」と言って
積極的に台所に立つようになったり、
母が大切に育てていた植木に水をやって
毎年、ハイビスカスとフリージアを咲かせていました。
そうして10年、
父が亡くなってから見つけた
大量のノートには、
家計簿や、今日起きたことの余白に
ほとんど毎日、母への一言ラブレターが添えられていました。
母を亡くしてからの10年間、
父は 一人だったけど、一人ではなかった。
母が亡くなった悲しみと寂しさの中でも 確かに、
母が生きている時と同じか、それ以上に
父は、母との繋がりを感じながら、
母の愛と共にいたのです。
それは、父が母より先に逝っていたら、
感じられなかったのかもしれない
母から父への、「IKIGAI」という名のギフトだったのです。
それでも、あなたの中に生きる愛
ここで、
読者の皆さんと一緒に考えてみたいと思います。
大切な方をすでに看取った方も
直接看取ったことがないという方も
天国にいる家族やご先祖様、
もしくは縁を感じる人がきっといるはず。
その人達との繋がりを感じていただきながら
二つの問いを、お渡しします。
1
もう死んでしまったけれど
とても大切な人を一人思い浮かべてください。
あなたにとってその人の存在は、
どんな意味がありましたか?
2
その人があなたに与えてくれた
いちばん大きな「贈り物」は何ですか?
死を超えて生を響かせるもの ー「IKIGAI」
死と向き合うことは、生と向き合うこと。
特に、大切な人を看取ることは、
共に紡いできた時間の意味を問い直す機会になります。
肉体としての死を迎えても、
魂としての命は消え去るどころか、
残された人の中で、新たな形の「IKIGAI」として息づいていく。
「IKIGAI」は、
「生きる喜び」や「使命」であるだけではなく
「死」からも湧き出る、深い愛の源でもあるのです。
大切な人との死別を「苦しみ」だけで終わらせず、
その中で育まれた、愛と繋がり見出し、
その愛を丸ごと受け取りながら、今を生きていく。
それもまた、
わたし達の「IKIGAI」なのではないでしょうか。
亡くなった人から贈られる愛に、気づき続ける。
尽きることなく湧き出でるそれを、受け取り続ける。
もう触れられないからこそ、
その愛は、時を超えて、肉体を超えて、
わたし達の命を響かせ続けている。
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